お盆

浄土門 時宗 光明寺

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お盆

仏事あ.ら.かると

2017/07/21 お盆

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さまざまな仏教行事の中でも最も広く親しまれ、日本人の生活に根づいている行事のひとつである。正式には「盂蘭盆(うらぼん)」という。

 

「盂蘭盆」とは、インドの古い言葉であるサンスクリット語(梵語)で逆さ吊りの苦痛を意味するullam-banaに漢字を当てたもので、もともと『盂蘭盆経』というお経に出てくる仏説に由来するものという。

 

お釈迦様の高弟のひとりである目連尊者(もくれんそんじゃ)は、得意の神通力で、亡き母が餓鬼道に堕ちて飢えと渇きに苦しんでいるのを知った。お釈迦様の教えに従って、多くの僧を招き、さまざまなご馳走を供えて供養したところ、母を餓鬼道から救い出すことができたという。

 

この話から先祖の精霊をわが家に迎えて供養し、その功徳によって苦しみの世界から救い出し、浄土に送り返す盂蘭盆の行事が生まれたといわれる。

 

日本では、「先祖の霊が帰る」という古くからの民間信仰と、仏教の盂蘭盆とが融合して、現在のお盆のかたちになったと考えられている。

 

古くは七月十五日を中心に行われていたが、先祖に長く逗留してほしいという気持ちから期日が延び、七月十三日から十六日(地方によっては十五日)までとするのが一般的。明治時代に新暦(太陽暦)が採用され、七月が農耕期に当たるようになってからは、一か月遅らせて八月にお盆を行う「月遅れ盆」が多くなっている。

 

いずれにしても最初の日を「迎え盆(お盆の入り)」、最後の日を「送り盆(お盆の明け)」という。

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準備

まず家庭の仏壇、仏具をきよめ、お盆の入りには精霊棚(しょうりょうだな)を設ける。

 

精霊棚は、「盆棚(ぼんだな)」「霊棚(りょうだな)」「魂祭(たままつ)り棚」などども呼ばれ、お盆の間、先祖の精霊をお迎えするために準備する。

 

伝統的には、しの竹の柱を四方に立ててその中に棚を設けるが、最近ではあまり見かけなくなっている。

 

一般には、仏壇の前に小机か台を置き、真菰(まこも)のゴザを敷いて棚をしつらえることが多い。花、季節の野菜や果物、菓子、故人の好物(精進なもの)などを供え、蓮の葉の上に少量の水をたらした「閼伽水(あかみず)」や、刻んだナスやキュウリと洗い米を清水に浸した「水の子(みずのこ)」なども一緒に供える。

 

先祖の位牌や燈明、香炉などを仏壇から出して精霊棚に並べる場合もある。

 

また、先祖の精霊の乗り物として、キュウリでつくった馬(これに乗って早く来るように)とナスでつくった牛(これに乗って沢山お供えを持って帰るように、名残惜しいのでゆっくり帰ってほしい)を供えるしきたりもある。

 

現代では、部屋が狭い等で、精霊棚を設けず、仏壇の中にお供え物をする形式も多くなっている。

 

迎え盆には、墓参りに行き、墓を掃除してお供えをする。また、先祖の精霊が道に迷うことがないようにと、迎え火をたき、帰ってくる家を知らせる目的に提灯を灯すという習わしもある。

 

迎え火のかたちは、昔は墓で灯した火を提灯に移して家まで持ち帰ったりしたが、現在では家の門口などで苧殻(おがら)をたいて迎え火とすることが多い。さらに簡略化して、玄関先に提灯をさげることで迎え火の代わりにするところもある。

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棚経

お盆中のいずれかの日に僧侶を招いてお経をあげてもらうのが習わしである。精霊棚の前で読経することから、これを「棚経(たなぎょう)」という。

 

僧侶がお盆の期間中に檀家を回って棚経をあげる習慣は江戸時代初期にはじまった。背景には檀家制度の強化という目的もあったと考えらている。

 

檀家の多い寺や、檀家が遠方に散らばっている寺などは、棚経をあげるのにお盆期間中だけでは回りきれないため、お盆前から檀家回りをはじめるところもある。

 

亡くなってから初めてのお盆を「新盆(にいぼん)(あらぼん)」または「初盆(はつぼん)」といって、より丁寧に新仏の供養を行う。

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送り火

お盆明けには、お盆の間我が家にお迎えした先祖の精霊を再びあの世に送り出すための行事が行われる。

 

各家庭では、お盆の最後の日の夕方、迎え火と同様に門口で「送り火」をたく。これは、あの世へ送る道しるべの意味がある。先祖の精霊が無事にあの世に戻れるようにと、その橋渡しをしてくてる六地蔵に送りだんごを供える習わしもある。

 

地方によっては送りだんごや供え物などを真菰(まこも)のゴザにくるんだり、小さな船に乗せて川や海に流す「精霊流し」や華やかな灯篭をつくって流す「灯篭流し」がおこなわれることもある。最近では、川や海に流すことが禁じられているところが多いので注意が必要。

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