お斎(おとき)とは

浄土門 時宗 光明寺

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お斎(おとき)とは

仏事あ.ら.かると

2017/08/02 お斎(おとき)とは

精進料理とは「精進」=「努力」という意味で、修行中にいただく食事。僧侶は殺生しないために、肉や魚を用いず、穀物・豆類・野菜類の食材だけで料理。修行中は一汁一菜で、とくに朝食はお粥、たくあん、梅干し、ごま塩のみという粗食。

お斎とは法事の後、参列者でいただく食事のことをいう。斎はもともと寺院で正午までに僧侶が食べる正式な食事を意味していた。お寺では正午より後には食事をとってはいけないことになっていたのである。

 

やがて、お寺の食事から法事に食べる食事へと意味が変化していった。この変化には、死者が出たときの民間の慣習が影響している。昔は人が亡くなると親族は忌籠り(いみごもり)をしていた。忌籠りとは、一定期間、精進潔斎(しょうじんけっさい)して人との接触を避けること。死者の生前の罪やけがれを除去するためとも、人が死ぬとその親族にげがれがつくので、そのけがれを除去するためとも考えられていた。食事を斎食(さいじき)と言い、精進潔斎中であり肉食は避けていた。

 

お寺で食べる食事も肉を使わない精進料理だったため、仏教の斎と忌籠りの斎食が混同されいいき、次第に法事で先祖の供養をした後にとる食事をお斎と言うようになったのである。

 

また、お斎は、施主が大勢の参列者にふるまう形となっている。これは仏教の修行のひとつである布施をあらわしている。施主は参列者に食事を布施するという善業の功徳を先祖に回向するのである。

 

現在では、食生活の変化や精進の意味が希薄化し、お斎といっても肉料理が出ることも多くなっている。

お斎には参加するのが礼儀

法事後のお斎とは、亡くなった人の供養と参列者へのお礼をかねて、会食することである。このお斎をすませることで、故人の供養がまっとうされると考えており、参列者はできるだけ都合をつけて、お斎に加わるのが礼儀だ。

 

料理の内容については、あまり形式にとらわれる必要はなく、とくに豪華にすることもない。地方にはいまだに「こうするべし」という決まりがあるところもあるが、そうでないかぎりは失礼がない程度で充分である。

 

ところで、お斎の際に次の行為はタブーである。それはーふだんの会食によく登場する“乾杯”という言葉と、“拍手”ーだ。仮に、そうした言葉が必要な時は「献杯いたします」といい、もちろん拍手などはしてはいけない。これが最低限の常識である。

なぜ夕食を薬石というの?

禅宗では夕食のことを「薬石(やくせき)」という。これは禅宗の僧侶の食事回数と関係がある。本来、僧侶は正午を過ぎては食事をとらないことが決まりであった。ところが、早朝から夜まで厳しい修行や作務に励むため、夜ともなると猛烈な空腹襲われる。朝と昼の食事が粗食では、お腹がすいてあたりまえである。

 

さらに、着ているものは薄い袈裟で、布団も一枚。夏はともかく、冬は厳寒、おまけに空腹のために体温は低くなり、寒くてしかたがない。

 

そこで考えたのが、温めた石を懐にしのばせるという方法。これが「薬石」のルーツである。のちに空腹や寒さを防ぐ、あくまでも薬として軽い夕食をとるようになったことから、夕食=薬石となった。

タブーな食べ物

禅僧が食べてはいけないもの、といえばやはり、肉がまっさきに思いつく。しかし、お釈迦さまの時代にはそれが布施によるものであれば許されていた。托鉢で布施されたものは、たとえ肉でもありがたく食べることが、布施をしてくれた人に徳を積ませることになるからだ。

 

酒もタブーのひとつである。禅寺の山門には「不許葷酒入山門」(クンシュサンモンニイルヲユルサズ)と書かれた石柱があるくらいだ。しかし、酒は「般若湯(はんにゃとう)」と呼び名を変えて、ちゃっかり飲まれているという話も聞く。ところで、「葷(くん)」というのは何か?これは、にんにくやネギ、ニラなどの匂いの強い野菜のことをいう。ツンとした刺激や味が食欲をそそり、さらに匂いが気になって修行の妨げになるからだという。以外にもこれはお釈迦さまが禁じたというから、お釈迦さまもにんにくの匂いには参ったということか?

鴈にも匹敵!精進料理「がんもどき」

がんもどきは精進料理から生まれた肉の代用品。水気を切った豆腐にすったヤマイモと卵を入れ、刻んだニンジン、ゴボウ、麻の実、昆布などを混ぜて油で揚げたものだが、鴈の肉の味に匹敵するという意味でこの名がついた。限られた食材で、栄養バランスを取り、味に楽しみを加えるためにさまざまな工夫が凝らされた知恵の料理なのである。

 

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