大乗仏教・上座部仏教の違い

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大乗仏教・上座部仏教の違い

仏事あ.ら.かると

2017/07/25 大乗仏教・上座部仏教の違い

仏教とは、そもそも「仏の教え」である。しかし同時に、私たち人間が自ら悟りを開いて「仏(仏陀)になるための教え」でもある。

 

起源は、今から二千五百年前(紀元前五世紀の始め)インドのガンジス川中流地方ブッダガーヤに「釈迦」を開祖として興った。人間のいろいろな悲しみや苦しみ(=煩悩)の解決方法を説いた宗教である。そのブッタガーヤにおいてお釈迦様は、悟りを開いて「仏=仏陀」となったわけであるが、「仏陀」とはすなわち「悟りを開いた人」「真理に目覚めた人」を意味する。そして、仏陀になったお釈迦様を尊称して「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」と呼ぶ。「牟尼」とは、サンスクリット語で「聖者」の意。また「釈迦牟尼世尊」とも呼ばれている。

 

そのお釈迦様の入滅後の紀元前三世紀頃、仏教は二つに分裂した(根本分裂)。その後、戒律を厳格に守ることを重んじる「上座部(じょうざぶ)仏教」と、お釈迦様の教えを広く大衆に広めることを目指した「大乗(だいじょう)仏教」という二つの流れができた。

 

さらに紀元前一世紀ころには、それぞれが細かく分裂した(枝末分裂)。

上座部仏教

出家して修行を積むことを通してのみ悟りに達することが出来ると説く。これではごく少数の限られた人しか救われないと批判した大乗仏教は、上座部仏教を「少人数しか乗れない」乗り物にたとえ、「小乗(しょうじょう)仏教」とも呼んだ。大乗はサンスクリット語の「マハーヤーナ」(大きい乗り物)の訳である。

 

ゆえに、小乗というのは大乗仏教側からの蔑称(べっしょう)であり、小乗仏教は上座部仏教と呼ぶのが正しい。

大乗仏教

中央アジアからシルクロードを経て中国、朝鮮半島、そして日本に伝わった。また、別ルートでネパールを経由してチベット、モンゴルでも栄えることになる。「北伝(ほくでん)仏教」とも呼ばれる。誰でも悟りに至るチャンスがあると考え、その方法をめぐってさまざまな宗派ができ、阿弥陀や弥勒などの諸仏や菩薩といったバラエティー豊かな神仏のパンテオンを生み出した。

一方、インドの古い仏教を色濃く残した上座部仏教はスリランカを経て東南アジア諸国に伝わった。「南伝(なんでん)仏教」とも呼ばれる。例えば、タイは現在でも敬虔な仏教国であり、成人男性は一定期間、必ず出家する伝統がある。一般の信者は僧侶や寺院に布施することによって功徳を積む。

上座部仏教

大乗仏教

別の呼び名 ・テーラワーダ仏教

・南伝仏教

・小乗仏教

・北伝仏教
目指す方向 修行によって解脱し、涅槃に至る 利他の行いによってすべての衆生を救う
到達点 羅漢 菩薩
救われる対象 出家して修行した僧侶本人 出家、在家を問わず、すべての人
僧侶以外は 僧侶への布施などにより功徳を積む 如来や菩薩に祈る
信仰の対象 お釈迦さまのみ。
菩薩といえば、お釈迦さまの修業時代のことを指す
お釈迦さまをはじめとする

・如来

・菩薩

・明王他、多数の尊格

経典 パーリ語原始仏典 サンスクリット語などの大乗仏典を翻訳したもの
戒律 お釈迦さまの時代に定められた戒律を守る 宗派ごとにさまざまに解釈
教派 スリランカ大寺派のみ 多数
伝播 ・スリランカ

・タイ

・カンボジア

・ラオス

・ミャンマーなど

・中国

・朝鮮半島

・日本

・チベット

・モンゴルなど

地図で見る仏教伝播

 

 

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